EXAMPLE皮膚皮下の腫瘍 代表例
粉瘤(アテローム)(Epidermal cyst)
(治療詳細はこちら)
皮膚の一部が陥凹して袋状になったもので、内容物は悪臭のある粥状になった皮膚の垢です。
中身を押し出して治療する方法もありますが、袋が残っている限りまた大きくなります。
細菌が袋に入ると化膿し、痛みを伴い赤く腫れ上がることがあります。
抗生剤治療でも改善しない場合は「切開排膿」を行い、中に溜まった膿を排出する必要があります。
切開排膿について(詳細はこちら)
治療は化膿していないときに皮膚を含めて袋ごと切除します。
外毛根鞘性嚢腫 (Trichilemmal cyst)
(治療詳細はこちら)
粉瘤とよく類似し、見た目では区別がつきません。どちらも毛包由来ですが、粉瘤は毛包漏斗部由来なのに対し、外毛根鞘性嚢腫は毛包峡部由来とされています。角化の過程が外毛根鞘の角化に類似する(顆粒層を形成することなく角化する)としてこのような名前がつけられました。粉瘤のように内部には角質や皮脂を含みます。約90%が頭部に生じ、基本的には良性ですが、稀に細胞が増殖・分化を起こして、表面にびらんや潰瘍を形成する「増殖性外毛根鞘性嚢腫」となったり、ごく稀に悪性化するとの報告もあります。
粉瘤とよく類似し、見た目では区別がつきません。どちらも毛包由来ですが、粉瘤は毛包漏斗部由来なのに対し、外毛根鞘性嚢腫は毛包峡部由来とされています。角化の過程が外毛根鞘の角化に類似する(顆粒層を形成することなく角化する)としてこのような名前がつけられました。粉瘤のように内部には角質や皮脂を含みます。約90%が頭部に生じ、基本的には良性ですが、稀に細胞が増殖・分化を起こして、表面にびらんや潰瘍を形成する「増殖性外毛根鞘性嚢腫」となったり、ごく稀に悪性化するとの報告もあります。
石灰化上皮腫 (治療詳細はこちら)
皮膚の一部が石灰のように硬くなる良性の皮膚腫瘍です。
毛根に存在する毛母細胞を起源とします。
表面は常色(皮膚の色)ないし淡紅色を伴ったり、青白くや青黒く見えることが多いです。
皮膚の直下に石の様に硬いしこりを触れます。ほとんどの場合無症状ですが、稀に痒みや圧痛を生じる場合があります。
比較的若い人の顔面、頚部、上肢に好発します。
皮膚の一部が石灰のように硬くなる良性の皮膚腫瘍です。
毛根に存在する毛母細胞を起源とします。
表面は常色(皮膚の色)ないし淡紅色を伴ったり、青白くや青黒く見えることが多いです。
皮膚の直下に石の様に硬いしこりを触れます。ほとんどの場合無症状ですが、稀に痒みや圧痛を生じる場合があります。
比較的若い人の顔面、頚部、上肢に好発します。
脂肪腫(治療詳細はこちら)
皮下に発生する軟部組織の腫瘍の中では最も多くみられる良性の腫瘍です。成熟脂肪組織で構成される柔らかい黄色~橙黄色の腫瘍で薄い被膜を被っています。通常、痛みなどの症状はなく、皮膚がドーム状に盛り上がり、柔らかいしこりとして触れます。治療は皮膚を切開し摘出します。
血管成分が多いものは、血管脂肪腫(angiolipoma)と称され、直径が1~2cmの小さめで腕や体などに多発するものもあります。脂肪腫に比べるとやや硬い感じがして自発痛や圧痛が認められることもあります。
脂腺嚢腫(多発性毛包嚢腫)
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前胸部、腋窩、頚部などに好発する皮膚色から淡黄色の半球状に隆起した嚢腫です。嚢胞壁に脂腺(皮膚の表面に皮脂を分泌する腺)が開口しており、内容物は皮脂で満たされています。多発することもあり、その場合は常染色体優性遺伝形式をとる例もみられ、ケラチン17遺伝子の変異の関与が示唆されています。
イボ(尋常性疣贅)
ウイルスが小さな傷から皮膚に入って増えたもので、一種の感染症です。
小児の手や足の裏などによくできます。治療は液体窒素で焼く方法が一般的ですが、なかなか治らない場合は切除することもあります。
脂漏性角化症(治療詳細はこちら)
老化による生じるイボ(老人性イボ)です。
やや年配の方の顔、頭、体幹に主にできるもので、しみが徐々に隆起してイボ状になることが多いです。
時にかゆみを伴います。
血管腫(治療詳細はこちら)
以前は、血管性病変は一括りに「血管腫」と呼ばれてきました。
現在では、血管内皮細胞の異常増殖によるものを、「血管腫」といいます。
一方で、血管内皮細胞は正常であり、先天的な構造の異常によるものを「血管奇形」といいます。
毛細血管拡張性肉芽腫(Telangiectatic granuloma)
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外傷が誘因になって毛細血管の増殖と拡張が繰り返されて大きくなることが多いとされています。出血しやすく止まりにくい暗紅色の軟らかい結節です。病理組織学的には、拡張した毛細血管の増生と周囲の間質増生が特徴的です。
液体窒素凍結療法で不十分な刺激を加えると、逆に大きくなってしまうことがあるため注意が必要です。小さいものでは炭酸ガスレーザーによる焼灼が、大きいものでは切除が治療になります。十分にとらないと再発することがあります。
皮膚線維腫(Dermatofibroma)
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色素沈着を伴う硬いしこりの様なもので、上下肢や殿部に発生することが多い良性の皮膚腫瘍です。
通常は無症状ですが、稀に痛みを伴うことがあります。その場合は切除術を行います。
脂腺母斑(Sebaceous nevus)
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頭部や顔面に生下時より生じるわずかに隆起した黄色もしくは黄白色の局面を形成する母斑です。頭部に生じると脱毛班となります。表皮、付属器、結合組織など、種々の成分由来の細胞が異常増殖し生じます。
思春期頃から隆起が増強し、時間経過とともに頻度は0~5%と低いですが、基底細胞癌などの悪性腫瘍の発生母地となることがあります。治療は外科的切除を行います。
神経線維腫(Neurofibroma)
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正常皮膚色から淡紅色で半球状に隆起する軟らかな腫瘍です。
ゆっくりと増大します。自覚症状は少ないですが、皮下に生じた場合は圧痛を伴うことが多いとされています。
末梢神経のシュワン細胞由来の良性腫瘍と考えられています。
全身に多発するものは神経線維腫症1型
(NF1)という症候群の場合もあります。
神経鞘腫(Schwannoma)
( 治療詳細はこちら)
神経鞘腫は末梢神経を包む膜(神経鞘)を構成するシュワン細胞から発生する良性の腫瘍です。
多くは皮下、筋肉などの軟部組織に発生しますが、脳・脊髄神経や、消化器管などに発生することもあります。
神経線維腫がNF1(レックリングハウゼン病)に随伴するのに対して、神経鞘腫はNF2に随伴するとされています。
ガングリオン(Ganglion)(治療詳細はこちら)
関節をくるむ関節包という組織や腱鞘(腱の浮き上がりを防止するトンネル)の一部が袋状になり、
その中に滑液が濃縮されたゼリー状の物質が詰まっている腫瘤です。手指や手首に好発します。
注射針で内容物を吸引して治療することもありますが、高確率で再発します。
痛みなどの症状が強い場合は手術をして摘出する場合もあります。
眼瞼黄色腫(Xanthoma)
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脂質を含有する泡沫細胞が、皮膚および粘膜に集簇した状態で、肉眼的に黄色を呈する病変です。
扁平隆起性で上下眼瞼の内側に生じます。
高脂血症の方に出現することが多いですが、高脂血症と関係なく出現する場合もあります。
軟性線維腫(soft fibroma)
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首や脇、鼠径部などに生じる、茎のようなもので皮膚とつながっている、軟らかいキノコ状の良性の皮膚腫瘍です。
首や脇などに多発するものはスキンタッグやアクロコルドンなどと呼ばれます。
衣類で擦れる場所にあるようなときは違和感や痒みを生じることがあります。
稗粒腫
眼の周りに直径数ミリの白くて硬い丘疹(ブツブツ)が多発したものです。
毛穴の奥にある毛包や未発達な皮脂腺に角質が溜まり、袋状になって皮膚の表面に出現します。
小さなものは針で穴を開けて内容物を排出できますが、大きいものなどは、
炭酸ガスレーザーで穴を開けて治療する方法があります。
脂腺増殖症
脂腺の過形成が原因で生じる、5mm程度の中央に凹みのある黄色〜白色調のやや扁平な丘疹(ブツブツ)で、
顔の頬や額に、散在することが多いです。
皮脂の多い中年以降の男性によく見られます。
通常は自然に消失することはありません。
炭酸ガスレーザーで原因となっている脂腺を含めて、丘疹を焼灼し切除します。
汗管腫
下眼瞼(下まぶた)に好発する、正常な皮膚色〜やや褐色がかった米粒程度の丘疹です。
思春期以降の女性に多く見られます。
汗を分泌する器官のひとつであるエクリン汗腺が、真皮内で増殖して生じます。
多発例では炭酸ガスレーザーによる治療や、大きいものでは手術による切除も行われます。
エクリン汗孔腫(eccrine poroma)
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汗を出すもとになっているエクリン汗腺の、汗の通り道(汗管導管部)の細胞が増殖したものです。
暗赤色で易出血性の、有茎性の小結節です。
まれに悪性化 (エクリン汗孔癌)するため切除することが多いです。
皮膚混合腫瘍(mixed tumor of the skin)
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顔面に好発する比較的硬いまれな皮内結節(小さめのしこり)です。上皮成分と間質の増生を特徴とし、さまざまな上皮性細胞への分化と粘液様および軟骨様の間葉成分が混在する腫瘍です。稀に癌化することがあります。
青色母斑(治療詳細はこちら)
青色母斑は青色ないし黒色の硬い結節で、皮膚または粘膜に生じます。
生下時より存在するものと幼児期に発生するものがあり、平らなもの(扁平型)や盛り上がったもの(結節型)に分類されます。
通常の青色母斑では、真皮から皮下脂肪層にかけて真皮メラノサイトの増殖を認めます。
非常に稀とされていますが、細胞増殖性青色母斑(cellular
blue nevus) のタイプでは悪性化の可能性もあるため注意が必要です。治療は結節型のものでは手術による切除を行います。扁平型のものではレーザー治療が適応になることもあります。
ケラトアカントーマ(Keratoacanthoma)
(治療詳細はこちら)
中年以降の人の顔面に好発し、急速に大きくなります。半球状に盛り上がり中央部が凹んでいて、硬い皮で覆われています(中央臍窩と呼ばれる角化性丘疹)2cmほどになると自然に縮みはじめて消えていくことがよくありますが、かなり瘢痕の残ることもあります。有棘細胞癌という悪性腫瘍と、外観や病理組織がよく似ていることもあり、本疾患が疑われたら自然消退を確認するため経過観察するか、もしくは診断の鑑別に病巣の全体像の把握が重要であるため、可能であれば全摘出(切除生検)します。
日光角化症(Solar Keratosis)
(同義語:老人性角化症、光線角化症(Actinic
Keratosis))
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紫外線を浴び続けてきたことにより発症する皮膚疾患で60歳以上に多く認められます。現在は有棘細胞癌の早期段階の病変(表皮内癌)と位置づけられています。有棘細胞癌へ進展する確率は1~2割といわれています。紫外線を受けやすい顔や頭に多く発症し、1~2cm程度の赤い斑点で、表面にかさかさとした角質やカサブタなどをともなう赤くまだら状のシミとしてみられたり(紅斑型)、隆起が大きくイボのようにみえるもの(疣状型)もあります。
Bowen(ボーエン)病
(治療詳細はこちら)
高齢者に単発する境界明瞭な円形~楕円形の直径数cm程度の紅褐色~黒褐色の扁平隆起性の局面で、表面は隣屑(鱗状の白色片)または痂皮(かさぶた)に覆われます。表皮内有棘細胞癌であり、放置すると基底膜を破り有棘細胞癌に進行することもあるため治療が必要になります。