YUKI皮フ科形成外科

陥入爪(Ingrown Nail)について 

陥入爪とは、爪の側縁が皮膚、軟部組織に食い込んで、痛みや炎症が起きている状態のことをいいます。炎症が長いこと続いた状態になると、「不良肉芽」と呼ばれる出血を起こしやすい赤い隆起物を伴うこともあります。

陥入爪写真
陥入爪イラスト

原因として、深爪、窮屈な靴の着用、マニキュアなどが挙げられますが、突然発症することもあり正確には分かっていません。爪白癬(爪の水虫)を合併していることも多くあります。⇒こちらは皮膚科で治療可能です。

よく「巻き爪」と混同されることがありますが、巻き爪は爪甲の曲率(指先から爪をみたときの爪の曲がり方)が増加している状態のことを指します。
陥入爪と巻き爪では、病態が異なり、治療法も異なります。今回は、「陥入爪」について分かりやすく説明していきたいと思います。

まずは「陥入爪」について理解する上で、必要な爪の解剖についてです。いわゆる一般的に「爪」と呼ばれている部分は、正確には「爪甲(ソウコウ)」といいます。爪甲は、爪の母と書いて「爪母(ソウボ)」という部分で作られます。そして爪のじゅうたん(床)である、「爪床(ソウショウ)」という部分を這うように伸びてきます。

 

爪解剖

治療は、足指の付け根の部分に麻酔の注射をして(趾神経ブロック)、痛みが無い状態で、陥入している部分の爪を切除します。

治療内容
左第Ⅰ趾内外側陥入爪で、外側皮下には膿の貯留も認めた。
麻酔下に、陥入している部分の爪甲を除去し、膿の貯留した部位の皮膚に切開も加え、切開排膿を行った。
副作用(リスク)
感染の残存
費用
約4,200円(保険適応 自己負担3割の場合の目安)
治療期間
約2週間

深爪や、窮屈な靴が原因で陥入爪が発症した場合は、食い込んでいる部分の爪を一度抜去するだけで、次回は食い込まずに爪が伸びてくる方もいらっしゃいます。
ただし、同じようにまた爪が伸びて、食い込んでしまう方には、端の爪だけ生えてこないようにする根治術が必要になります。
端の爪だけ生えてこないようにする方法として、爪を作るもとになっている爪母の中で端だけを、切除するものや、薬で腐食させる方法があります。

メスや剪刀(ハサミ)などを使って、爪母を切除するものが「外科的根治術」であり、「児島法」や「鬼塚法」といった術式がよく知られています。
一方で、フェノールという強い蛋白腐食作用を持った薬液を、爪母の端に塗布して腐食させることにより、部分的に爪を生えなくする方法を「フェノール法」といいます。

私が所属していた東京慈恵医科大学形成外科の、二代目教授の児島 忠雄先生は、手外科領域では知らない人がいないほど高名な先生です。
児島先生が、考案された、「児島法」という術式は、日本で広く行われている陥入爪の根知的手術になります。

児島Ⅰ法
児島Ⅱ法

私も大学病院や市中病院で働いていた頃は、この児島法を何百例も行っておりました。

治療内容
陥入爪手術(爪床爪母の形成を伴う複雑なもの)児島Ⅱ法
副作用(リスク)
出血、疼痛、感染、創離開、再発
費用
約7,500円(保険適応 自己負担3割の場合の目安)
治療期間
約2週間で抜糸

しかし現在のクリニックでは、「児島法」と「フェノール法」のどちらも行っています。理由としては、手術だと出血が多い、術後に多少なりの痛みを伴うためです。「フェノール法」ではその点、出血はほとんどなく、術後の痛みもほぼありません。欠点としては、直接目でみて、爪母を腐食させられるわけではないので、再発の可能性がある点、正常の爪母、爪床がフェノールの影響を受けて爪が変形するリスク、感染が残存してしまうリスクがあります。

治療内容
フェノール法
副作用(リスク)
感染、爪変形、再発
費用
約7,500円(保険適応 自己負担3割の場合の目安)
治療期間
約2週間

患者さんごとに、どうしても痛みに弱い方、出血のリスクが高そうな方などには、再発のリスクを説明した上で、万が一再発した場合は、「児島法」を行う方針として「フェノール法」を行っております。今までのところ当院では「フェノール法」で再発した方はいません。(もちろん始めから手術を希望される方には、手術(児島法)を行います。)
上記で説明した方法は全て国民健康保険が使用できます。

INGROWN TOENAIL

その他、陥入が軽度の場合は、テープで皮膚を引っ張ったり(テーピング法)、爪甲の下にコットンを挿入したり(コットンパッキング法)、チューブを挿入したり(Gutter法)、ワイヤーで爪甲の弯曲を矯正したり(弾性ワイヤー法or VHO法)、形状記憶のあるプレートを爪甲に貼って矯正したり(B/Sブレイス)など、実に様々な治療法があります。
どれも長所短所があり、共通して言えるのは、特殊な道具を使うものは自費治療、症状が強いものにはなかなか作用がでづらい、治療を中断すると再発しやすい点です。
当院ではこれらのものでは、 「B/Sブレイス」を皮膚科でご用意しているので、興味がある方はお尋ねください。

【B/Sブレイスの詳細】
治療内容
形状記憶のあるプレート(ブレイス)を爪甲に貼って爪の変形を矯正
費用
4,500円(税抜き)
回数、頻度
約1〜3カ月に一度、古いブレイスを交換 変形が矯正され、陥入爪の痛みの症状がとれるまで治療を継続
副作用(リスク)
ブレイスの逸脱、再発
TOP