YUKI皮フ科形成外科

肥厚性瘢痕・ケロイドについて

「肥厚性瘢痕」や「ケロイド」は、外傷や熱傷、手術などで生じた赤く隆起した瘢痕です。線維芽細胞から産生された膠原線維が創を閉鎖する過程で、炎症が長引いたり、何らかの原因で創傷治癒が遅れると、膠原線維が過剰に産生され、瘢痕が肥厚したり発赤を伴うことがあり、これを「肥厚性瘢痕」といいます。
(例)右側腹部のホクロを、他院で約一年前にくり抜き法で除去され、傷を軟膏処置でそのまま自然治癒させられた症例です。創傷治癒が長引き肥厚性瘢痕になっているのが分かります。

右側腹部肥厚性瘢痕
肥厚性瘢痕拡大写真

一方、同一の患者さんで当院で左側腹部のホクロを切除し、創部を縫合した場合の術後一ヵ月後の経過です。肥厚性瘢痕は生じていないのが分かります。

左側腹部ホクロ
左側腹部ほくろ術後
術後1ヶ月拡大写真
左側腹部ホクロ 左側腹部ほくろ術後
術後1ヶ月拡大写真
副作用(リスク)
再発、内出血、瘢痕
費用(手術代)
約4,000円(保険適応 自己負担3割の場合の目安)
治療期間
術後約1週間で抜糸

肥厚性瘢痕は通常約半年程で成熟瘢痕となり沈静化しますが、半年を経ても沈静化せず、当初の創範囲を越えて水平方向にも増大していくものを「ケロイド」といいます。

ケロイドは耳、前胸部、肩、恥骨部が好発部位です。逆に頭頂部や上まぶた、前脛骨部(すね)にはほぼ発生しません。またケロイドは遺伝的要素や体質が影響していると言われており、妊娠や高血圧も増悪因子として知られています。
肥厚性瘢痕は全身どの部位にも発生する可能性はありますが、特に関節部などの可動性で緊張のかかりやすい部位に好発します。
両者が混在しているような病態もあるため、厳密に区別するのは難しいです。

ケロイド、肥厚性瘢痕の治療は保存的治療が第一選択です。
保存的治療とは一般に、

  • ・抗アレルギー剤(トラニラスト)内服
  • ・圧迫療法
  • ・ステロイド外用剤(ドレニゾンテープ、エクラプラスターなど)
  • ・ステロイド注射

があり、これらを組み合わせて治療を行います。

安易に手術を行うと再発する可能性があるだけではなく、活動性のケロイドの場合は元よりもさらに大きくなってしまうリスクがあります。手術適応をしっかりと見極めて、再発を起こしにくいような縫い方の工夫(真皮にかかる緊張を少なくする)や、術前術後の抗アレルギー剤内服、テーピングによる圧迫固定、場合によっては術後放射線治療の併用なども検討する必要があります。

左耳介ケロイド
左耳介ケロイド術中写真
術後三ヶ月前面
術後三ヶ月後面
左耳介ケロイド 左耳介ケロイド術中写真
術後三ヶ月前面 術後三ヶ月後面
副作用(リスク)
再発、血腫、瘢痕
費用(手術代)
約11,000円(保険適応 自己負担3割の場合の目安)
治療期間
術後約1週間で抜糸
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