YUKI皮フ科形成外科

専門医とは? 〜クリニック選びの参考(程度)に〜

当院では、しつこいくらいに日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本形成外科学会認定形成外科専門医の両方の診察が受けられますよとアピールしています。

そもそも皆さんは “専門医” と聞いてどのようなイメージを持たれていますか?

その分野を専門にしているお医者さん? 町でよく見かけるクリニックの看板にはたくさんの科が表記してあるけど全部専門なの? 色々分からない事だらけだと思います。

今回は、分かりづらい日本の “専門医” について解説してみたいと思います。(細かいところが間違っていたらすいません)

日本では昔から、医師免許があれば、好きな科を掲げることができる自由標榜が認められています。そのため、専門以外の科でも掲げることが可能です。例えば、◯◯内科クリニック(内科、小児科、皮膚科)といったようにです。

 昔はクリニックの数も今ほど多くはなく、過疎地などでは今でもファミリークリニックとして幅広く診察を行わないと、地域の医療体制を維持できない、また経営面においても一つの診療科だけでは患者さんが集まりにくいなど理由から、専門以外の科も掲げる複数科標榜が行われています。

これでは、一般の人がこの先生は何が専門か分かりづらいこともあり、専門医という資格ができました。

 日本では保険診療においては、何科の医師が、何の診察や、処置、手術などを行っても料金は同じです。内科や皮膚科の医師が手術を行っても、形成外科の医師が手術を行っても値段は一緒です。

また形成外科の研修1年目の医師が手術を行っても、日本形成外科学会認定形成外科専門医が手術を行っても、さらには大学の形成外科教授の医師が手術を行っても、保険診療であれば料金は同じです。

これが日本の医療の特徴であると言えます。

インターネットやSNSの普及による患者さん側の得ることができる情報量の増加、またクリニック数の増加に伴い、患者さんが以前に比べて ”選ぶ” ことができるようになりました。今後この専門化の流れはさらに進むと考えられます。

従来の専門医制度では、それぞれの学会が、独自に基準を取り決め、試験を行い、(日本内科学会認定総合内科専門医なら日本内科学会が、日本外科学会認定外科専門医なら日本外科学会がというように)制度を取り決めてきました。

そのため、どうしても各学会で、基準のバラツキが生じてしまうため、「果たして専門医の質が保証されているのか」という議論が上がり、厚生労働省で十分に検討された結果、平成29年4月より、新専門医制度が導入されました。従来の各学会が独自で定めてきた制度は、第三者期間である 日本専門医機構 によって運用されることになり、バラバラであった専門医資格の認定基準が統一されることになりました。

専門医を取得するためには原則として、医師は2年の初期臨床研修を終えたあと、内科や外科、産婦人科などを含む19の基本領域専門医から診療科を選び3年以上「専攻医」として研修を積むことが定められています。また、より専門性の高いサブスペシャリティ領域専門医の資格を取得するためには、関連する基本領域の専門医資格の取得が必須条件となります。

そこでの専門医の定義は
それぞれの診療領域における適切な教育を受けて十分な知識・経験を持ち、患者から信頼される標準的な医療を提供できる医師(神の手を持つ医師やスーパードクターを意味するものではない)』とされています。

専門医の資格は、科によっても異なりますが、だいたい5〜7年間程度、決められた認定施設にて研修を積み、経験した症例を書面などで提出し、試験問題や口頭試問をクリアすることによって、ようやく手に入ります。

(ちなみに各学会に入会所属するのは、推薦状などがいる場合もありますが、基本は簡単です。入会金年会費を払うだけです。)

決められた認定施設で、幅広い症例を、長い期間経験しなければならないため、なかなか大変です。人生は一回しかないですからね。

ただし試験のときに、実際に手術などを試験監督の前で評価されるわけではないので(科によっては、手術の動画を提出が必要な科もありますが)、専門医だからといって、決して手術が上手い というわけではありません。

私も専門医を取得したばかりのころに、信頼する上司に「専門医とったからって、手術が上手くなるわけじゃないからな」と散々言われました。

本当にその通りだと思います。その科の医師として、必要最低限の経験と、知識を備えた医師が『専門医』なのかもしれませんね。

なので、専門医がいるかいないかは、クリニック選びの ”参考” 程度に。

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